廃陸の旅団
現在、いや歴史上最も強いフォースを秘めると言われるエターナル・スフィアを凌ぐスフィアの存在。
スフィアに興味のないカムイですらも気になって仕方がない。
「ではもしも、その様な物があると知ったら民は、軍はどうすると思う?」
カムイは、はっとした。
「そうか……そんな物があるなんて知れたらまた世界は争いを始めてしまう。」
「その通りじゃ。人々は力を求め無益な血を流す。しかもエターナル・スフィアすらも兵器として使うことになるかもしれん。そうしたらスフィア戦争の二の舞どころか……」
その後の言葉をスクルドは決して口にしなかった。
「石碑に書いてあった古代文字の解読は出来たのですか?」
「それがの。本人が言うのは何じゃが、ワシもハイマンスもそこらの考古学者より遥かに優れた知識を持っておる。しかし読むことはできなんだ。」
病み上がりで興奮しすぎたのだろうカムイの額からは汗が吹き出ていた。
スクルドはその汗を拭き取り優しく言う。
「少し疲れたじゃろう。続きは君が元気になればいくらでもしてあげるから、今はお休み。」
スクルドの手はしわくちゃだが暖かく、カムイを優しく包んでいく。
「……はい。」
カムイはゆっくりと目を瞑ると眠りについた。