廃陸の旅団
カムイは誰かに肩を叩かれて目を覚ました。
そこにはスクルドがいつもの笑顔で座っていた。
「よく頑張ったの。もう動いても大丈夫じゃ。」
カムイを起こすなりスクルドはそういった。
「何度も命を助けて頂いてありがとうございました。」
カムイはスクルドに握手を求める。
しかしスクルドは手を後ろ側の格子に向けて指差した。
「お友達が迎えに来ている。行きなさい。」
スクルドの指した先。
そこには何とジンの姿があったのだ。
「お入りカムイの友人。」
スクルドが手招きをするとジンが牢獄に入ってきた。
「ジン生きてたのか。良かった。他の皆は?」
ジンは無言で首を振る。
「そんな……そうだシルファは?シルファと一緒に逃げたんだろ?なら……」
ジンはカムイから目を反らす。
「死んだよ。オレをケルセウム郊外まで運ぶのに残りの生命を使いきった。」
「そんな……」
カムイの手が悔しさで震えた。
その手をスクルドが優しく握り、うなずいた。
言葉もないのに何だか救われる様な気がして、カムイは涙を流した。
「スクルド老師。軍の皆は大丈夫だったんですか?」
スクルドは最後にポンとカムイの手を叩くと、笑う。
「皆無事じゃよ。すでに仕事に追われておる。」
「良かった……」
「それよりカムイ。おまえに聞かせたいことがあるんだ。」