廃陸の旅団
その気配の殺し方。
わずかに漏れたフォースからその足音の主が只者でないことがわかる。
カムイとジンが身構えると――
「カムイ。久しぶりぃー。B.A.S.E.に喧嘩売るなんてバカしちゃって、もう殺されちゃったと思ってたよー。」
とても明るく天真爛漫。
牢獄だと言うのになんて元気な声だろうか。
「久しぶりに会った第一声がそれかよオイ。」
「えへ。それより話は聞いたからさっそく行こうよ。クラナド助けに。ね。」
マールは親指を立てて一層元気な声で言った。
カムイはベッドから立ち上がる。
「ああ、行こう二人とも。スクルド老師……本当にありがとうございました。」
カムイはスクルドに深く頭を下げる。
そして三人は牢獄を抜け出した。
三人が居なくなるとすぐに交替の牢番がやってきた。
「スクルド老師。これはいったい何事ですか!?」
「すまんのぅ。どうやらこの老いぼれ隙だらけのようでの、若者にはそれが分かるんじゃろうな。牢を開けた瞬間に逃げられてしもうたんじゃよ。」
牢番は無線で連絡をとる。
その様子を楽しそうにスクルドはみていた。
「ハイマンス坊にはワシから言っておこう。君は通常の任にお戻りなさい。」
牢番はスクルドに頭を下げて戻っていった。
スクルドはカムイのいた牢の鍵をゆっくりと閉めた。