廃陸の旅団
奥に進むと三つの扉がある部屋に出た。
「どうする?三人バラバラに行くの?」
三つの扉を見回しながらマールが言う。
「いや、前に来た時に右の扉に入ったが物置だった。カムイとマールは真ん中の扉に進んでくれ。オレは左に行く。クラナドを見つけたら聖杯の部屋で落ち合おう。」
そう言うとジンは左の扉に進んでいった。
カムイとマールもジンに続くようにして真ん中の扉を開いた。
長い廊下の両脇に五部屋ずつ入り口が並んでいる。
カムイは近場からシラミつぶしに調べていくことにした。
「何だか恐いくらいに誰もいないよね。実はジンの方にたくさんいたりして。」
四部屋目の部屋に入るが誰もいなかった。
しかし確かに誰かが生活している様子はあるようだ。
「そういえばカムイさぁ。右目見えてないよね?」
マールの質問にカムイは足を止める。
はぐらかそうとも思ったのだが、マールの真っすぐな瞳を見て、カムイは正直に話すことにした。
「ああ。反動で……ね。」
カムイは右手に手を当てる。
「反動……?」
痛みがあるわけではない。
感覚だって確かにある。
「ああ。一時的に超人的な眼力を使える反動に、力を使っていない時は見えなくなるんだよ。」
しかし見えないのだ。
「そんな呪いみたいなこと、聞いたこともないよ。」
マールは凄く心配そうな顔をしている。
カムイは少し困った様に笑って言う。
「ま、痛みがあるワケじゃないし大丈夫。それよりさっさとクラナド見つけよう。」
「うん。」
そして二人は最後の部屋のノブに手を掛けた。
「――いくぞ。」