廃陸の旅団
カムイとマールが最後の部屋に入ろうとした頃。
ジンは無属民の集会を襲撃していた。
この時間、無属民はクラナドと四天士を除いて集会を開くことをジンはあらかじめ知っていた。
そしてその集会は左側の扉の先であることも。
だからカムイとマールは誰にも邪魔されることなく最後の部屋まで行くことができたのだ。
「何だ貴様は!?」
無属民からジンに教科書通りの質問が飛ぶ。
「何だかんだと聞かれたら…(中略)…ただの侵入者だよ。」
ジンがおちゃらけて答えている間に無属民達はジンに攻撃してきた。
多勢に無勢とはいってもジンと彼らには力の差がありすぎた。
百数人いた無属民達もあっという間にジンに倒されてしまう。
すると奥の部屋から白マントを着た二人が出てきた。
その中の一人がいとも簡単にジンの背後をとる。
「……なっ!?」
ジンですら背後を取られるまで気付くことができない。それほどの手練。
背後からの鋭い突きをかろうじてかわすと追撃の蹴りがジンの脇腹にささる。
「うぐっ……その型は神元流だな?」
「その通りだよ。神元流歩法術『影縫い』」
男はまるでジンの影から現われたかのようにジンの背後に一瞬で回り込んだ。
「――なにっ!?」
刹那、ジンの鎖が男の足をとらえる。