廃陸の旅団

「それって……"スフィア戦争"のことですか?」

死者十数万人を越え、今でもその後遺症で苦しむ人が数多いる、歴史上最大にして最悪の顛末(てんまつ)を辿った戦争である。

「その通りだよ。でも……そのことについてはあまり口にしない方が良いね。」

「?……あ、はい。」

そのアストンの言葉に、クルーが深い悲しみに濡れた目をしていたことに、カムイだけが気付いていた。

「さて、本題とズレたね。つまりレッド・スフィアはブルー・スフィアを人工的に作り出そうとした物であり。実際にフォース硬度はブルー・スフィアとほぼ同等にまでなっているんですよ。」

アストンは喋り終えるといつのまにかかいていた汗を拭い取り不安そうにクルーの方を見た。

「と、まぁクラナドとアストン准将の言われた通りだ。レッド・スフィアはB.T.の最高難易度をクリアした者だけに渡している。とはいっても今のところニーガル中将と私。そしてカムイ、あんただけだがな。」

にかっと今までで一番豪快な笑顔を見せたクルー。

「これは何に使おうともカムイ、お前の自由だ。幸運なことにお前にはクラナドがいるからよく話を聞いて使い道を考えるんだな。」

「はい。」

クルーはバシバシとカムイの肩を叩いて激励をして、豪快に笑った。

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