廃陸の旅団

こと多対一に関してジンは天才的に強かった。

ジンの鎖による攻撃は規則性が少なく、複数の標的を一度になぎ払うことができるからである。

｢息吹け『嵐喰牢-ﾗﾝｶﾞﾛｳ-』｣

しかしジンには唯一と言っていい弱点があった。

ジンの最強の攻撃は鎖で描いた魔方陣による、回避不可の呪術攻撃である。

接近戦を主体とするジンの戦術に本来なら合わない結界術を折り込めているのは、ひとえにジンのバトルセンスの為せるわざと言えた。

｢神元流抜刀術『飛影』｣

鎖の結界は、鎖のどこか一部でも破られてしまったらその力を発動することができなくなってしまうのだ。

故にジンは多対一で戦う時にはまず遠距離攻撃を得意とする敵を狙う。

｢邪魔なんだよ結界師。｣

ジンの鎖がアニスに向かい伸びる。

｢……甘い甘い。｣

しかし、一瞬にしてソニアがアニスの前に躍り出て、ジンの鎖を弾いた。


相手に遠距離攻撃を得意とする術師と、ジンのスピードを凌駕する戦士がいる時。

ジンの力は半減されてしまうのだった。


｢最速の剣士ソニア、最高の結界師アニスか……分が悪いねこりゃ。｣