廃陸の旅団
「何笑ってんだ、よ!!」
ジンの背後に回り込みソニアの刄が振りぬかれる。
ジンは鎖でそれを受け止めたが、鎖は引きちぎられてしまった。
切れた鎖が地面に虚しい音を立てながら落ちていく。
「『結鎖・氷ろう……」
「『嵐喰牢』」
ソニアに投げた鎖は弧を描き魔方陣をその軌跡に成していく。
しかし術を発動させようとフォースを練る一瞬の間に、アニスは結界を発動させジンの鎖を砕く。
粉々になった鎖が辺りに散らばっていった。
「よし、こんなもんだろ。」
すると何故かジンが立ち止まった。
不気味にフォースを放つその姿に、アニスは何か言い知れぬ不安を感じる。
「やっと諦めたのか?」
しかしそんなことも知らずソニアがジンへと襲い掛かった。
それを見てジンがにやりと笑う。
「退けソニア!!」
アニスの叫びなど気にもせずソニアは剣を振りかざす。
すると――
「なっ……雪?」
ソニアの目の前に粉雪が舞い踊る。
「なっ、なぜだ?鎖の結界など何処にも……」
手足を凍らされ身動きの取れなくなったソニア。
その周りには鎖の結界は確かに描かれてなどいなかった。
「『散鎖・氷狼結界』」
なんと辺りに散っていたジンの鎖が光りだし、落ちている鎖のフォース同士が繋がり、部屋全体に魔方陣を描いていたのだ。
「うがぁぁぁぁあっ。」
超零度の空間に舞う結晶に切り裂かれ、ソニアは床に倒れる。