廃陸の旅団

「行くぞ。」

今まで結界を発動させる時に微動だにしなかったアニスが、初めて手で標的であるジンを補足する。

結界の位置は視覚情報から標的の位置を目測することによって決められる。

その際に正確な位置情報によって結界を発動させることで、最低限の範囲にフォースを抑えることができるのだ。

手を使うのは本来ならば正確さをきす為の一つの手段だった。

「『雷牙牢-ライガロウ-』」

「なっ――!?」

逃げる間もなく結界に取り囲まれてしまうジン。

ジンのスピードを以てしても回避できないほどの超速の結界術。

アニスは手で操ることで、結界の発動スピードを飛躍的に早くしたのだ。

結界内に落雷が走り、中に居たジンは電撃の的となる。

目が痛くなるほどの閃光と共に、何度も爆音が辺りに響き渡った。

「これで終わったな……。」

アニスがジンを倒したことを確信した時だった。

結界内の電撃が、まるで電灯が切れた時のように、バチッと音をたて一瞬にして消えてしまった。

「貴様……何をした!?」

そこには今までの鎖とは違う何かを持ったジンが立っていた。




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