廃陸の旅団
ジンは鎖とは違う何かを手にしていた。
それが何かを視認することはできない。
アニスの爆雷によって巻き起こった砂埃と、紫電がジンの両腕にまとわりついていたのだ。
「あんた凄ぇよアニス。コイツを使わなかったら、間違いなく今ので死んでた。」
ジンの得体の知れぬ力に、アニスは数歩退く。
「もう分かっただろ?いくらあんたでもオレには勝てないよ。」
それはジンに恐怖を抱いたからではない。
アニスは自身の最強の結界術の範囲から、回避する為であった。
「あんたみたいな人を殺すのは惜しい。だから、どうか退いてくれ――。」
「『重層結界・雷雲転召』」
一瞬にして3層の結界がジンを飲み込む。
「退く?この私が――?そんな甘い事を言っているから、貴様は死んだのだ――よ!?」
ゴァアッ。と音がしたかと思うと、結界を飲み込んでいた雷が止み、結界はガラスの様に脆く砕け散った。
「何だと?貴様いったい何をした!?」