廃陸の旅団

掻き消された炎の中から這い出したカムイ。

「くそっ……マール。」

マールを守れなかった自分の腑甲斐なさに、カムイは拳を地面に打ち付ける。

血がにじみ出たカムイの右手を小さな手が優しく包み込んだ。

「『ヒール』」

青白い光が傷を照らし、みるみるうちにカムイの傷を癒した。

顔をあげるカムイの瞳に映ったのは――

「ははっ。生きてたのかマール。」

炎に飲み込まれてしまったかに思われたマールの元気な姿だった。

その横にはボロボロになったジンの姿もあった。

「あのオジサンが救けてくれたの。そんなことよりカムイ……クラナドがいないわ。」

「何だって!?」

部屋を見渡すカムイ。

確かにいつの間にかクラナドの姿がなくなっていた。

ミルファとオスカーの膨大なフォースに隠れて、クラナドのフォースを感じることもできなかったのだろう。

「行こう2人とも。まだ追い付けるはずだ。」

「ええ。」

「おう。何としても捕まえよう。」

3人はミルファとオスカーを残して、聖杯のあった部屋へと戻っていくのだった。

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