廃陸の旅団
『ドバッ』っと音をたてて流れ落ちるカムイの血。
「カムイ何で避けないんだよ。オマエなら今の攻撃なんて何でもないだろ?」
切り裂かれた左肩から、おびただしい量の血が流れる。
「バカかクラナド。後戻りなんて出来るわけがないだろ。」
「なっ!?」
「誰もが後戻りなんて出来やしないんだよ。過ちは無かったことには出来ないんだよ。消えてしまった命は元には戻せないんだよ。」
多量出血で目眩をおこしたカムイが床に座り込む。
朦朧とする意識の中でもカムイは一瞬たりともクラナドから眼を反らすことはなかった。
「オレたちは今を生きている、後戻りなんて出来るわけがない。過ちは、未来の自分を正せば良い。消えてしまった命は戻らないけど、遺された命を守ることはできる。」
マールとジンはただじっとカムイを見守っていた。
「生きている限り、遅すぎることなんてありはしない。だからクラナド、また一緒に。な?」
クラナドは黒い鎌を落とす。
カラン。と高い音が響き、クラナドは膝をついて俯いた。
「……かな?こんなオレでもまた笑ってカムイや皆、母の前に戻れるかな?」
涙を流すクラナドの頬をカムイは優しくぬぐい。
何も言わずに小さく頷いた。