廃陸の旅団

その後、気を失いかけたカムイをマールが癒した。

オスカーとミルファの戦いは熾烈を極めたが、後一歩でミルファを拘束出来たというところで逃げられてしまった。






「あのさっきはありがとうございました。」

マールがオスカーにそう頭を下げる。

オスカーは髭を撫でながらいやらしく笑う。

「なぁに可愛い嬢ちゃんを助けるのはオレの使命よ。まぁ、どうしてもお礼がしたいってんなら、今日オレ様の部屋に来るんだな。がっはっは。」

お礼を言った自分がバカだったとマールは頭を抱えた。

「それで、あなたはいったい……?」

「オレ様は廃陸の旅団の前団長。泣く子も黙る"天帝"のオスカーとはオレ様のことだ。」

「泣く子も黙るどころか、その顔見たら余計泣いて止まなくなるっつの。」

ピクッとオスカーの眉間にシワがよる。

「オレ様の旅団を潰してくれたガキんちょが何を言ってやがるんだ?ジン。」

「どんな事情か知らないけど、いきなり旅団ほっぽりだして居なくなるアホ団長には言われたくねぇよ。オスカー。」

2人の間に火花が散る。


仲が良いのか悪いのか、楽しそうに喧嘩する2人を、マールとカムイとクラナドが優しい眼差しで見つめていた。



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