廃陸の旅団
マールは古代語で術を詠唱する。
するとクラナドのレッド・スフィアとマールの手にあるブルー・スフィアが強く輝き始めた。
部屋中に赤と青の光が飛び散る。
ブルー・スフィアをレッド・スフィアに重ねると少しずつ二つのスフィアが融合していく。
「これが……アーリア・ポーション。すげぇ。」
紫色の光はどんどん濁り、くすんでいく。
クラナドは激しい痛みでのた打ちまわったが、三人に押さえ付けられていて叫ぶことだけで痛みを紛らわした。
スフィアの融合を試みてどれくらいの時間がたっただろうか。
未だスフィアの融合は半分ほどしかできていなかったが、マールとクラナドの消耗が激しい。
ブルー・スフィアのフォースがあるとは言え、マールは詠唱の間、ずってフォースの消費を続けているのだ、いつ倒れてしまってもおかしくはない。
「マール、頑張ってくれ。」
カムイの小さな祈り。
それが聞こえたのかマールは微かに微笑むと、尽きかけていたフォースを振り絞り――
とうとうブルー・スフィアとレッド・スフィアが完全に融合した。
「融合、消滅せよ『アーリア・ポーション』」
目も眩むような激しい紫色の光が弾けとぶ。
クラナドの全身を赤い光が流れる。
それはまるで血流に乗るかのように、額に浮かび上がったスフィアに流れると、紫色の光を辺りに散らす。
そして部屋全体が真っ白な光に包まれた。
「クラナドぉぉぉっ。」