廃陸の旅団

「アーリアはいったい何の為にあの術を生み出したんだろう。」

カムイとマールをそっとしておく為、ジンとオスカーはデッキへと移動した。

「分かってねぇな……お前も穣ちゃんもあの坊主も。」

オスカーは呆れた様に頭をかく。

「スフィアの暴走は精神を崩壊させる。理性など欠片も残らないほどに消え、力を得る為に平気で罪を犯す様になる。分かっているだろう?」

オスカーの言葉でジンは確かにスフィアの融合消滅の意味を理解した。

しかし認めることは難しかった。

ジンの表情からそれを悟ったオスカーがため息をつく。

「はぁ……ったく。だからお前はいつまでたっても餓鬼だってんだよ。」

そう言い残してオスカーは船室に消えていった。


風がゆっくりとジンの髪を揺らす。

「やりきれねぇなぁ……」




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