廃陸の旅団


陽が沈んだ後でジンはマールの部屋を訪ねていた。

マールは遺蹟を出てからずっと泣いている。

「私が……私がクラナドを殺した。殺したのよ。」

マールは枕に顔を埋め擦れた声で叫んだ。

ジンはゆっくりとベッドに歩み寄る。

「違うよマールは悪くない。あれで良かったんだ……」

マールはジンの言葉が信じられなかった。

「良かった?私たちがクラナドを殺したのに……せれなのに良かったってどういうことよ!!」

マールはジンの胸にうずくまりドンドンとジンを叩いた。

ジンはマールの髪を柔らかく撫でる。

「もし、あそこで俺達が止めていなければクラナドはもっと多くの罪を犯したと思う。」

「違う……クラナドは最後に正気を取り戻していた。」

カムイと真正面から触れ合うことでクラナドは確かに、昔の優しさを取り戻している様に見えていた。

「かもしれない。でも……それは一時的なものだったのかもしれない。スフィアの暴走は、スフィアに精神を乗っ取られることだ。逃れることはできない。」

マールはギュッとジンの服を掴む。

声を押し殺して泣くマールの髪を、ジンが優しく撫でる。


「だから……だからマールは悪くないよ。」

ジンの胸で啜り泣くマールは普通の十三歳の少女で。

どんな優れた才能を持っていようとも中身は小さな少女なのだ。

心は強く脆い。


だからこそ心は愛しいのだとそう思った。



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