廃陸の旅団
星達のカーテン。
灰に染まった海。
そんなシックな色彩に身をゆだね、カムイは町外れのテトラポットに座っていた。
「クラナド。なんであんなことしたんだよ。なんで俺の前から消えたんだ。なんで……」
回答者のない質問は延々と続いてしまいそうでカムイは虚しさに口を閉じた。
あの時最後に自分の手を握ったクラナドの手は温かく生気に満ちていた。
言葉は柔らかくクラナド本来の優しい声だった。
本当に一瞬だけクラナドは正気を取り戻すことができていたのかもしれない。
「……そんなこと考えたって答えは出ないのにな。」
黙りこむと波の音が聞こえた。
寝そびれた虫も鳴いている。
クラナドの死を知っているのは自分達だけ。
彼が、彼の命の燈が消えてしまったのを知っているのはたったの四人しかいないのだ。
「クラナドの家を尋ねよう。そして墓を立てよう。墓参りに来た人達が一生忘れられないようなでっかいやつ立ててやるからな。だから……」
しぶく波の音、寝静まる人々、虫の鳴き声。
耳をすませば聞こえてくる。
「だからさ、前みたいに困った顔で笑ってくれよ……申し訳なさそうな声を聞かせてくれよ。なぁ……クラナドぉ。」
友を送り出す少年の涙の鎮魂歌が、聞こえてくる。