廃陸の旅団

カムイは涙が止まるとクラナドのことを全て話し、謝り続けた。

ジンとマールが口を開くことはなかったが、カムイと一緒に居てくれた。

それだけでカムイは逃げずに居られたのだ。

最初は放心状態だったおばさんも。

涙を拭き取るとクラナドのような困った笑顔を見せた。

「うちの子を面倒みてくれてありがとう。あの子に罪を犯させないでくれてありがとう……」

お礼なんて言って欲しくなかった蔑まされていた方がどれだけ楽だったことか。

その後カムイはクラナドの右手をおばさんに渡した。

おばさんは息子の右手を抱き締め泣いた。

「カムイ君もあなた達もつらかったでしょう?」

おばさんはそう言うと大きな体でカムイとジンとマールを抱き締めてくれた。

おばさんの胸の中は温かくて温かくて、涙が溢れた。



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