廃陸の旅団

クラナドの故郷に現れたアリオス。

ゆっくりとした足並みが、クラナドの墓の前で止まった。

「ようやく一つ目のピースですね。ふふふ。」

アリオスは墓石の下に手を当てると、土を掘り出す。

そこへ村人がたまたま通りかかった。

「な、何者だ貴様!?まさか墓荒らしじゃねぇだろうな?」

おじさんは持っていた鍬(くわ)を構える。

アリオスは小さくため息をすると、立ち上がる。

「私としたことがとんだ失態ですね。こんなことでは彼等に叱られてしまいます……」

「何をワケの分かんないこと言ってやがる。観念しやが……れ?」

アリオスが何か呟くと、おじさんはピクリとも動かなくなってしまった。

振りかざした鍬も微動だにせず、ただ身体が硬直しただけではなさそうだ。

「さて、行きましょうクラナド。」

アリオスは固まったおじさんを横目にクラナドの墓を掘り出し、クラナドの右腕から何かを取り出した。

そしてまた腕を土に返すと、墓を元の状態に戻していく。

「さて、お待たせしました。とは言ってもアナタの「時」は止まっていましたから、苦痛も何も無いでしょうがね。」

アリオスはおじさんの胸に手を当て、また何か呟いた。

するとおじさんの目に生気が戻り、振り下ろされていた鍬がようやく地面を叩く。

「ありゃ?オレいったい何をしてたんだ?」

誰もいない地面に向かって鍬を出していた自分の姿に戸惑うおじさん。

辺りをしばらく見回してみたがそこには誰もいなかった。

「おっかしいな……誰かクラナドの墓の前に居た様な気がしたんだがな……」

悪い夢でも見ていたのだろう。そう思い至りおじさんは自分の畑へと向かっていった。







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