廃陸の旅団
第三章〜陽の当たらぬ地、迷い込む蛍〜

変わった歴史学者

クラナドの実家をカムイ達が訪れてから3日。

一行はケルセウムへと戻ってきていた。

マルテリウムの発展した白銀の街並み。

屋根の谷間から覗く砲台が紛争の少ないこの世界を妙に威圧している。

「ケルセウムに帰ってくるのも久々だな。どっかの誰かさんに誘拐されたせいで三年も帰ってねぇからな。」

カムイはわざとそう言ってジンを睨んでみる。

ジンは苦笑いだ。

「アリオスとかいう占い師は何が言いたかったんだろうな?ケルセウムは世界一の大都市だぜ?」

「どーでもいいんだけどさ……長旅でお腹空きまくってるんですけど。おじさんと違って若者は栄養とらないと成長に響くんだよね、ねーカムイ。」

マールは一人だけ年齢の離れているジンをからかうのが好きらしい。

でも、ジンだって黙ってはいない。

「何が成長だか。七歳児の背に何より……」

ジンの次の一言がマールを本気で怒らせることとなる。

「俎板(まないた)と変わらん。」

マールの年齢の割りには発達していない胸を見てジンは言った。

マールは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

ジンの反論する暇など与えもせずに怒鳴り散らしていった。

よほど気にしていたらしい。




「しつけぇんだよ糞ジジイ。んなつまんねぇ本誰も読まねぇんだよ!!」

すると遠くから大きな怒鳴り声がしたのだが、カムイはかろうじて聞き取ることができた。

横の二人が音声を妨害しているのが原因らしい。

カムイは2人を置いて、その声のした方へと向かっていく。


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