廃陸の旅団
「戦争が規模を拡大するに至った大きな要因が二つある。」
クロノは顎の前で手を組み、鋭い眼差しでカムイを見つめた。
「一つ目はエターナル・スフィアの存在がセイクリッド・モースから漏洩し、世界に広がってしまったことにある。国家連合軍も争奪に身を乗り出し、軍にあだなす二大勢力までもが争いに加わってしまったんだ。」
「二大勢力?三大勢力の間違いでは?」
今でこそ半軍を唱える勢力の代表と言ったら『廃陸の旅団』、『無属民』『影』と言われているが、当時のことを知る者はそう言わない。
「いや、二大勢力だ無属民そして影。なぜならスフィア戦争の為に、軍により新たに『廃陸の旅団』という組織が結成されたのだからな。」
「なっ――!?軍によって旅団が作られたってどういうことだよ!?」
叫ぶジンの頬をクロノはゆっくりと見据えた。
「旅団員にも知らされてはおらん、知らなくて当然だ。そのことを知るのは軍上層部とオスカーだけなのだから。」