廃陸の旅団
「でたらめ言うのもいい加減にしろよなジジイ!!」
怒りを顕にしたジンを見てクロノのが小さく笑った。
「若い頃のオスカーにそっくりだな。よいか?廃陸の旅団とは天を禁地とした軍が、空から民を監視する為に作られた組織なのだ。」
「んなわけねぇだろ。オスカーはオレ以上の軍嫌いだぞ、あいつが軍に手を貸すわけがない。」
ジンの反論にもクロノの口調は変わらない。
「確かにそうだ。あやつは軍などに手を貸したりなどしないだろう。」
「はっ。なんだよ、やっぱりでたらめかよ。」
「あやつが手を貸したのは師匠であるスクルドと、兄弟弟子であるハイマンスにだよ。」
ジンの口が閉ざされる。
「あやつは何にも執着しないが、繋がりを一番に重んじるやつだ。軍が好きも嫌いも関係ない、ただ2人の力になる為にあやつはそれを快諾した。」
もう反論する言葉など出てこなかった。
旅団員を家族の様に、いや、それ以上に大切にしていたオスカーを一番身近で見ていたジンには分かってしまったからだった。
「話を本題に戻そうか。主要勢力の参加によって事態は急加速で戦争が起こるに至る。」
切迫した空気に全員のケーキと紅茶は全く減る気配がなく、ただ場に合わぬ甘い匂いを放っていた。
「そして二つ目が軍だ。そのころから軍は調度スフィアの研究実験に乗り出していた。内容は下級スフィアを圧縮融合し上位スフィアを人工的に造り出すというもの。」