廃陸の旅団
ほんの一分もしないうちに十数人いた警備員はカムイとジンに皆気絶させられてしまった。
「うわ……なんか観客がいっぱいいる。」
騒ぎを聞き付けた来館者達が恐いもの見たさで観戦していた様だ。
「ジン!!呑気に手振ってないで行くぞ。」
観客の中にいた子供たちから声援を受けたジンは律儀に子供たちに手を振ってあげていた。
カムイはジンの腕を乱暴に掴むとマールが入っていった小部屋へと入る。
「さぁお嬢ちゃん。すぐにあの二人のところに送ってあげるわね。」
マルテリウムのスイッチを入れるとマールの目の前に巨大な丸いのこぎりの刄が現れ勢いよく回転した。
その刄はどんどん下に降りてきてマールの鼻をかすめ様とした瞬間。
『ガキン。ゴッゴッゴッ……』
なぜか刄は回転を止めその位置で静止した。
「マール大丈夫か?」
マールが声のする方を見るとカムイがマルテリウムのスイッチを切っていた。
受け付け嬢はジンの鎖で縛られている。
カムイはすぐにマールを拘束している錠を外した。
「ちょー恐かった。にしても私たち指名手配されてたんだね。まぁ当たり前って言えば当たり前なことしてきたけど。」
マールはさっきまで拘束され赤くなってしまった手首や足首をさすっていた。