廃陸の旅団

造られし者

「だぁぁ……痛ぇ。二人共戦ってるけど加勢できねぇなこりゃ。」

ジンは左腕を押さえながら、その場に倒れ大の字になった。

痛みで全身から冷や汗が出る。

「マールの方は心配ねぇんだけど、カムイの方はどうだかな……」





「どうしました?逃げているだけでは寿命を僅かに延ばすだけですよ。」

イセリアは爪をムチのように変形させて攻撃してくる。

両手十本のムチは魂を宿しているかのようにそれぞれが自在な攻撃をしかけきた。

避けることができない、受けとめることもできない。

マールはひたすら逃げているしかなかった。

「何なのよこいつ。あぁもう!!『インパルス』」

光の固まりがマールの拳を包み込む。

治癒と逆回転のフォースは対象者と反発し爆発を起こした。

マールがその状態で地面を叩きつけると石片が飛び散った。

「そんなのは私のムチなら簡単に叩き落とすことができますよ。」

イセリアはその通りに全ての石を叩き落とす。

が、石片へと意識が分散した一瞬の隙にマールの姿を見失しった。

「しまった!!」

イセリアはマールの姿を探そうと手の動きを止める。

「そろそろおばさんは眠る時間だよ。『インパルス』」

背後にまわったマールの渾身の一撃がイセリアの背を打ち抜く――

「――なっ、堅っ。」

まるで厚い鉄板でも叩いたかのような鈍い感触。

もしインパルス状態でなく攻撃していたなら、マールの拳の方が砕かれていたかもしれない。

「残念ね。細胞を操作できるということは、何も攻撃力が高いってだけじゃないのよ、お嬢ちゃん。」
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