廃陸の旅団
ウリアは心を動かされていた。
テリアを助けたい気持ちと、自分の存在意義である任務を遂行しなければならない気持ちとが天秤にかけられているのだ。
「それにオレ達はヴァルハラを目指しているんだ。あそこは差別も争いもない場所だって言うじゃないか。」
「ヴァルハラに辿り着いたら平和に暮らそう。君たちだって望んで人殺しをしているわけじゃないんだろ?」
ウリアがテリアを見つめる。
テリアもまたウリアを見つめる。
「テリアはどうしたい?」
ウリアの言葉は今までの機械的な言葉とは違い、暖かかった。
「僕は……誰も傷つけたくないし傷つきたくない。ウリア兄ちゃんや他の皆にも傷つけて欲しくないし傷ついて欲しくないよ。」
テリアの本音を聞いたウリア。
彼は前々から気付いていた。
誰も争いなど望んでいないことに。
しかし目を逸らしてきたのだ。
「ウリア……」
遠くからウリアを呼ぶ二つの声。
それは傷ついたが、命をつなぎ止めていたイセリアとグリアだった。
「グリア、イセリア生きていたのか。いや君たちがとどめを刺さなかったのだな……」
少し哀しげな顔をしたウリアを見てテリアは不安になった。
それが分かったのかウリアはテリアの頭を撫でる。