廃陸の旅団
そう言ったニーガルから何かを悟ったウリアの顔がひきつる。
「まずは他から殺らせてもらうよ。『黄昏の鎮魂歌』」
ニーガルが両手の剣を振るうと空気を裂く音が凄まじい旋律を奏でていく。
鎮魂歌は死人の魂を鎮めるための歌だがこれは、生者すら死人のそれと共に葬っていくかの様に美しく、戦慄が走る。
ウリアはテリア達の前でその衝撃波を受けとめた。
「ぐっ……君たちに一つ聞きたいことと頼みがあるんだが聞いてくれるか?」
テリアと共にカムイ達をも守っているウリア。
部屋は衝撃波に切り刻まれカプセルは無残にも割れ中のニーヴァスごと切り刻まれていった。
「テリアを君たちと共に連れていってくれ。ニーヴァスには血の繋がりという概念はないが私にとっては掛け替えのない弟だ。」
そろそろニーガルの攻撃を受け続けるのにも限界がきているのだろうウリアの両手はもはや刄とは言えないほどにボロボロになっていた。
「テリアのことは任せろ。それで聞きたいことっていうのは?」
カムイが言う。
ウリアは誰にも見せなかったが清々しい笑顔で言った。
「君たちの名前が知りたいんだ。皆への冥土の土産話にヴァルハラを目指した馬鹿な人間の話をしてやりたいから。」