廃陸の旅団
「……はっ!!」
左手のみでニーガルの術を受けとめるウリア。
左手は指先から崩れ落ち瞬く間に肘までを失った。
その間に自由になった右腕でウリアはカムイ達が逃げら為の道を切り開く。
「俺はカムイ・フロストマン。小さな時からヴァルハラを目指している馬鹿な人間だ。」
カムイはテリアを抱えあげながら言い。
ジンもそれに続く。
「オレはジン。空の支配者廃陸の旅団長にしてやはりヴァルハラを目指す馬鹿な人間の一人だ。」
そしてマールも続く。
「私はマール・ポニー。天才ヒーラーでこんな馬鹿達と共に旅する馬鹿な人間よ。ちゃんと覚えておきなさいよね。」
三人はウリアの切り開いた道を走りだす。
三人には分かっていた。
マールによって治癒されたとはいえ全快ではない自分達ではウリアを助けようともただの足手纏いにしかならないことを。
だから三人には逃げるしかできないのだ。
ウリアもまた分かっていた。
自分はここでニーガルに殺されることを。
だからせめて弟だけでも助けたかった。
「ありがとうカムイ、ジン、マール。テリアを頼んだぞ。」
三人が地下室を抜けた瞬間に地下室から耳をつんざくような爆発音とすさまじい衝撃波が吹き出した。
「兄ちゃん。ウリア兄ちゃん!!」
カムイの腕から降りようともがくテリアをカムイは黙って強く抱きしめていた。