廃陸の旅団
言われてみればニーガルとウリアは同じ顔をしていた。
違いと言えばウリアの方が顔が幼く髪を縛っていなかったことくらいだ。
「なぁ、もしかして……テリアの父さんって軍の人間じゃないのか?」
テリアが何者かの模写だと分かった瞬間、カムイには思い浮かぶ人物がいた。
「そうだよ。父さんは僕達を実験体として軍に渡すことでB.A.S.E.に入ったんだもん。」
テリアはその時のことを思い出しているのであろう。
とても悲しくつらい目をしていた。
「アストン准将が君とウリアを造り出した。しかもニーガル中将の弟……」
カムイには信じられなかった。
アストンは気の弱そうな青年で、いつもおどおどしていた。
そんな人が自らのクローンを作りだし軍の研究体としていたなんて。
「父さんを知っているんだね。そう……あの時から三階級も昇進してるんだ。」
テリアは皮肉たっぷりの言い方でそう言った。
「アストン准将に会いに行こう。」
カムイはそう言うとテリアの手を握った。
他の皆も同意見だったらしい。
見えてきた軍の影の部分をこのまま見過ごすわけには行かない。
三人は真の意味で軍と戦うことを決意したのだった。