廃陸の旅団
無明の闇をただひたすらに上昇していく。

しかし上昇しているのだと言う自覚はない。

何せ繋いだ手すら触覚でしかわからないほどの暗やみなのだから。

そんな中で闇に震える小さな手にカムイは気付いていた。

より一層強く握るとテリアも強く握り返してきた。

「テリア真っ暗で何も見えないと恐いよな。」

「別に恐くなんかないよ……」

強がったテリアの声は少し震えていてカムイは口に出さずに笑った。

「俺は恐いよ。真っ暗でこのままここから出られなくなったらどうしよう、とか考えると恐くて……恐くて。」

「カムイお兄ちゃん……?」

大丈夫だよ。

と言っているのだろうかテリアはカムイの手をもっともっと強く握った。

「でも、こんな真っ暗なのに見えるんだ。ジンもマールもそれにテリアも。視覚じゃない。何かが俺達に視覚じゃないもので感じる光を与えてくれてるんじゃないかと思う。」

そんなカムイの言葉にジンは思わずぷっと吹き出した。

気付いたカムイは渾身の力でジンの手を握る。

「何かって?視覚じゃないものって?」

純真な問いに三人は自分なりの言葉で答え返す。

「心で感じるの……愛情を。」

「そう心。愛情や友情は心を照らす。」

「テリアも俺達を感じてみな。目を閉じて……心で。」

目を閉じるテリア。

「うん、見えるよお兄ちゃん達の笑顔。」





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