廃陸の旅団
アストンはマター隊の隊長なので専用の部屋を持っている。
各隊長は皆持っているのだが、それは待遇というよりは仕事が他の人と比べて半端じゃなく多い為。
それをそつなくこなす為の書斎と言った感じだ。
「すいません。椅子の上にある資料は横にどかしちゃってください。」
アストンの部屋は正に書斎といった感じで、資料やらレポートやらが山積みにされていた。
カムイ達は言われた通りに椅子の上に置かれていた資料を床にどかして座った。
「じゃあさっそくですが……説明してもらえますか?」
カムイがそう見つめると、アストンはらしくない強い眼差しをする。
「ニーヴァスの話をするのにはまず僕の生い立ちから話さなければなりません。長くなるのでコーヒーを持ってきます。」
アストンは一旦部屋を出るとコーヒーと二本のジュースを持って戻ってきた。
「僕と……もう知ってるとは思うけどニーガル中将は兄弟だった。」
アストンは器用にコーヒーを入れながら話を始めた。
「兄弟……だった?」
「そう、僕らがまだ幼いときに両親が離婚してね……僕は母に引き取られ、兄さんは養子として当時軍でも上位にいたビスマルク家に引き取られた。」