廃陸の旅団

「ウリアの最期はどうだったんだい?」

アストンの問いにカムイは少し言葉を詰まらせながら説明をした。

「そう……兄さんもウリアも"らしい"ことをしたね。テリアの為に命を賭したのは嬉しいよ。僕を守る為ならきっとニーガル兄さんは命をはってくれたと思うからね。」

アストンの哀しげで少し清々しい瞳には、兄に守られた自分が写っているのかもしれない。

「……なぁ、なんでアンタ今も軍にいるんだ?」

ジンの冷たい一言がとぶ。

アストンは俯く。

「この何年もの間僕は軍を恨まなかった日はないよ。そして、しっかりと準備もしてきた。…………足りなかったのは勇気だ。」

「お父さん……?」

心配そうに顔を覗き込んだテリアにアストンは優しく微笑みかける。

そして顔を上げると、テリアの頭を撫でた。

「でも、こんな僕にウリアが僕に道を示してくれた。テリアが勇気をくれた。皆が背中を押してくれた。」

いつもおどおどしていた青年の瞳は力強く前だけを見つめていた。

「僕は恐かった軍と戦うことが……いや、兄さんを敵にまわすことが恐ろしくてたまらなかったんだ。僕も君たちと一緒に軍と戦いたい。お願いします。」

頭を下げるアストン。

テリアは心配そうにカムイの表情を覗き込む。

「テリアはどうしたい?」

カムイが聞く。

「父さんと一緒がいい……」

遠慮がちだが擬いもない完璧な答えが返ってきて、カムイは小さく笑った。



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