廃陸の旅団
そうしてアストンを仲間にした一行。

軍のニーヴァス研究機関を破壊すべくアンバー・タワーの隣にある研究施設へと向かった。

白いドーム状の建物には一つだけしか入り口がなく、その入り口も三人の屈強な兵士達が封鎖している為に侵入は難しそうだ。

「僕だけなら簡単に入ることができます。しかし……」

「ああ。装置の見張りとかもいるだろうし一人で施設を壊滅させるのは無理だね。何とかしてあの兵士をどかさないと。」

アストンが言葉をつまらせたのを見てすかさずジンがそう言った。




「んー……じゃあ俺が囮になるから、皆は隙をついて……」

カムイがそう言い終わる前にジンの拳骨がお見舞いされた。

「痛っ!!何すんだよジン!?」

「アホか。それこそこの前の双剣士クラスのやつが出てきたらどうすんだよ馬鹿。」

ジンがそう言うとカムイがふてくされた顔をした。

それを見たジンが拳を上げるとカムイはすぐに謝る。

何だかんだで年上の威厳は守っているらしい。

「あのドームの中ってどうなってるの?」

マールがアストンに尋ねるとアストンは常時携帯しているレポートの裏に、ドーム内の簡単な間取り図を書いてみせた。

「裏側の壁破れば入れそうだな……」

間取り図を指差しながらジンが言うが、アストンが首を振る。

「いえ、この施設は全て孔気拡散障壁を使っているので、入り口以外からの突破はまず不可能です。」

アストンの言葉に皆は顔を見合わせて深いため息をついた。

「じゃあ……やっぱり強行突破?」

眉をひそめながらマールが言うとアストンが、何かの詠唱を始めていた。

「あんまり気乗りしねぇんだけどな……」

「ああ、仕方ないさ。アストンの術を合図に飛び掛かるぞ。」

カムイがそう言うとマール、ジンそしてテリアが頷いた。
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