廃陸の旅団

ドームの中はヒステニアの地下室のような異様な雰囲気に包まれていた。

生体実験に使うのであろう動物や魔物がホルマリン漬けにされ棚いっぱいに並べられている。

「ったく趣味の悪ぃ所だなおい。」

太陽の光があたらないようにしてあるため、施設内は薄暗い紫色の光に照らされている。

「軍はこんな研究をして何をすりつもりなんだ?」

異形な怪物の腕をみながらジンが尋ねる。

「詳しくは分かりませんが、『支配』と『進星』だと聞いています。」

先頭を歩くアストンが前を見ながら答えた。

「つまり、この世界の支配と、他惑星の征服というわけか……」

嫌悪にも似たカムイの表情。

アストンは振り向きもせずに話す。

「はい、恐らくはそんな感じでしょう。こんな研究も僕さえいなければ……」

アストンは自身への怒りで肩を震わした。

その様子を見たテリアが顔を覗くとアストンは笑顔で頭を撫でた。


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