廃陸の旅団
アンバー・タワーにあったニーヴァス研究施設を破壊した後。

カムイ達は一路、海底都市へと向かっていた。

潜水艇に乗り込み、丸1日が経ってもまだアストンは深い眠りの中だ。

「まだダメか……」

治癒の感覚で、術の効力があまりないことに気付きながらもマールはアストンの治療を続けていた。

飯もろくに口にせず治療をしているマールの元にジンが軽食を持ってやってきた。

「お疲れ。サンドイッチとチップスだけど少しは食べといた方が良いぞ。」

「うん……でも。」

小さな丸い窓から見える深海は暗く、無明の闇は人の心を容易く後向きにしてしまう。

そんな時、人は寄り添うことの大きな意味を知るのだろう。

「バカ。オレらのパーティーで治癒ができるのはマールだけなんだぞ。お前が倒れでもしたら誰がアストンを治療してやれるんだよ。」

マールの闇を一筋の光が照らす。

「うん……そだね、ゴメン。ありがとうジン。」

「おう。」





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