廃陸の旅団
海底都市の外れ。
もはや人工太陽の光すら届かない暗黒の地。
そこに軍の保有する最大の生体実験施設があった。
深海の畏怖を感じる闇の中にぽつりと白い建物が、異彩を放ちながら立っている。
「ここが最大にして、研究施設の心臓部となる生嶺館(せいれいかん)……通称『アーカイブ』です。」
アーカイブの中は暗く淡い緑色の光で満ちていた。
「気を付けてくださいね。僕のドライブ・オーバーによる宣戦布告に兄さんは気付いたはずです。先回りしている可能性もありますから。」
すると奥でいくつかの影が動くのをカムイが視認した。
「……来るぞ。」
「ああ、さっそくお出ましだな。カムイ、久々に本気出していこうぜ。」
カムイが孔気刀を構えると奥の暗闇からネオ・ニーヴァスが三体現われた。
「僕は後方支援に専念します。ネオ・ニーヴァスは力の特化と共に数ヶ所機能が劣化しています。そこを狙ってください。」
アストンは小さな弓矢を構える。
「オォォォオォオッ!!」
一体のネオが鼓膜を破らんばかりの咆哮と共にカムイ目がけて突進してきた。
カムイの迎撃もネオの堅い表皮に弾かれる。
「堅いなぁ……さっそく、アレ試してみるかな。」
カムイが何かをしようと、態勢を整える間にニーヴァスの追撃が襲い掛かる。
そこは後方で待機していたアストンの矢がニーヴァスの腕を貫き妨害した。
「弾き潰せ『咆掌斑-ホウショウハン-』」
ニーヴァスがひるんだ瞬間カムイはニーヴァスの懐に入りこんだ。
アストンのドライブ・オーバーを見て思いついた技。
孔気刀を形成するフォースを手のひらで左右の回転を生み出しぶつけ合う。
それは反発し、カムイの思う通りに爆発を起こした。