廃陸の旅団
アーカイブの最奥にある扉に辿り着いた一行は歩みを止める。
いや、正確には扉の先から放たれているフォースによって足を止められてしまったのだ。
「……兄さん。」
アストンは尋常じゃないほどの汗をかいていた。
「……アストンさんはここで待っててくれませんか?その様子だと、オレはあなたを連れてはいけそうにない。」
カムイの言葉にアストンは強く首をふる。
「いえ。やはりニーヴァスを造りだしてしまった張本人の僕がいかなければ。行きましょう。」
アストンは決意のあらわれだと言わんばかりに自ら扉を開けた。
ピンと張り詰めた空気が流れ込む。
一層深まる畏怖に身をふるわせながら歩を進めた先にはやはりあの男が立っていた。
「久しぶりだなアストン。それに旅団の死にぞこない共。」
金髪に、金色の鋭い瞳。
構えた双頭の刄は純白と漆黒に輝く。
「ニーガル兄さん……」
仲の良かった兄弟は今こうして、お互い倒さなければならない敵として相対している。
「なぜ今更になって動きだしたんだ?今まで散々理由を付けては逃げてきたお前が。」
ニーガルの冷たい口調に、アストンは声を震わしながらも凛と答える。
「テリアのおかげで僕は自分の過ちと向かい合うことができた。だから……」