廃陸の旅団
「だから……例え兄さんと戦うことになろうとも僕は、僕はもう逃げたりはしない!!」
アストンの声がニーガルに届いた瞬間。
ニーガルは誰にもばれないように笑った。
おどおどしていていつも自分を頼っていた弟の成長を見れて嬉しかったのだ。
しかし、彼には軍人としての立場がある。
信念がある。
例え実弟であろうとも時には自分の手にかけなくてはいけないのだ。
「そうか。しかし呪術も使えないお前が俺に勝てるとでも思っているのか?」
一瞬にしてアストンの目の前に移動したニーガルの、非情なまでの斬撃がアストンに届こうとした瞬間。
高硬度の物質が弾け合う音がした。
「また俺にやられたいのか?カムイ・フロストマン。」
「そちらこそ、前に俺に負けているでしょう?」
カムイの迎撃がニーガルに向かう。