廃陸の旅団
ただでさえ莫大な量のフォースを蓄積して発動する術である緑柱眼を、無理矢理引き出そうというのだ。
カムイは拭い切れぬ不安を抱えながらも右目を見開く。
「緑柱眼か……やっかいな術を。『放爆刃』」
緑色に輝く瞳にはニーガルの高速の動きがコマ送りの様に見えていた。
打ち放たれた純白の剣をさらりと躱す。
「あれを躱すのか。じゃあこれならどうだ?『放縛刃』」
ニーガルはカムイから視線をそらすとジンに向かって、漆黒の剣を投げつける。
まだジンはニーガルの戦闘スピードについてこれてはおらず、その刄を自力で回避することは不可能だった。
「ジン、左後方に跳べ!!」
カムイの声がジンの鼓膜を震わすのと同時に、ジンは左後方へと跳ぶ。
その僅か後にジンの元居た場所を黒い残像が駆け抜けていったのだった。
「素晴らしいね緑柱眼。それでは、これはどうだね?『カオス・フィールド《混沌の幻世界》』」
部屋の両端に突き刺さったニーガルの2つの剣が、地面に写る影すらもを掻き消す強烈な光を放った。