廃陸の旅団
クラナドは力ずくでその競り合う刄を押し込む。
「クラナド・ウォーカー。君はスフィアの吸収が禁じられているのを知っていたな?しかも人様の物を盗むとは言語道断だ。」
男は一気にクラナドの鎌を振り払うと、クラナドに向けその純白と漆黒の剣を構える。
「貴様の様な輩はこの"双剣"の名において私が成敗してくれる。」
「ちっ。また天才さんのお出ましかよ。うぜぇんだよお前等は。俺みたいな凡人をゴミを見るような目で見やがって。」
クラナドもまたその鎌をニーガルに向け構えた。
睨み合う2人。
「今まで君がどんな傲慢な人物に会ってきたかは知らないが、そこまでのひがみ根性はどうしたら生まれるんだい?」
「黙れ!!貴様等の綺麗事にはもう飽き飽きなんだよ。死ねぇぇっ!!」
クラナドが次の斬撃にそなえわすがに刄を引いた瞬間。
ニーガルは一瞬にして間合いを詰めると、流れるような剣撃でクラナドの孔気刀を破壊した。
「な……んだと!?」
両手の剣で上下から同時に攻撃する様はまさに龍が獲物を食い千切るかのように圧倒的だった。
「双剣士のみ可能な上下同時攻撃『双牙斬-ソウガザン-』。その一噛みたるや龍の如し。」
クラナドは渾身の力を込めた孔気刀を破壊され、あきらかに動揺していた。
「ふざけるなよ……所詮凡人は禁忌に手を出しても天才には勝てないのか。認めねぇ。認めねぇぞ。」
尽きかけているフォースを振り絞りクラナドはまた孔気刀を作り出し、ニーガルに向かっていく。
「ふぅ……やりきれないね、まったく……」