廃陸の旅団
突如としてマールの身体が黄金の光に包まれる。
その強烈な光は治まるまでの間、ニーガルですら目を覆い隠すほどであった。
「――あの術はまさか。アーリア?」
それは何処からともなく沸き上がった歌だった。
古代の言語なのだろうか、それは懐かしくも力強くマールの中を駆け巡る。
「もう誰も死なせない。『サンクチュアリ《神聖慈悲なる加護》』」
カムイ、アストン、ジンそしてマールの周囲に、半球城の特殊な結界が張り巡らされる。
結界の中は温かな光に満ち、悪しき力を浄化し、傷すらもをみるみる癒し――
「思い通りにはさせんぞ『双竜双牙』――なにっ!?」
ニーガルの太刀は光の結界に触れた瞬間に弾き返されてしまった。
何モノにも決して侵害、干渉されない。
「なんて術だ……」
何もできずニーガルが立ち尽くす。
するとその背後に誰かが立っていた。
「……お久しぶりですね。もう生きてはいないのかと心配していましたよ。」
ゆっくりとニーガルが振り返り、長年追い続けていたその男を見据えた。