廃陸の旅団
ニーガルは立ち上がり己の全てを込めオスカーにむかっていく。
「ほれほれ。どうした下手糞が。餓鬼の頃のがまだマシだったんじゃねぇか?」
あれほどまでに強かったニーガルがオスカーにかかればまるで赤子のようだ。
稽古をつけているかのように簡単に、しかし確実にオスカーはむかってくる斬撃をそらしている。
「いつまで余裕をこいているつもりだオスカー!!『黄昏の鎮魂歌』」
「猿真似しかできねぇくせに粋がるんじゃねぇ!!『トワイライト・レクイエム』」
混沌の真空波が部屋にある物体全てを昇天、鎮魂させていく。
その斬跡にある物質は塵と化し、粉塵も残らぬほど細かく刻まれ消えていく。
辺りに粉塵が撒き散り、消滅するとオスカーがまたニーガルを見下ろしていた。
左肩に致命傷を負ったニーガル。
それでもニーガルはオスカーへと向かっていく。
「何故あなたはそれ程の力を持っていながら軍に手を貸さない!!民を守ろうとはしないんだ!?」
明らかに動きの鈍ったニーガルの攻撃などオスカーは剣を使う迄もなく弾き飛ばす。
オスカーの左肘がニーガルの背を強く打ち抜き、ニーガルは地面に叩きつけられた。
「じゃあ何故お前は、軍の暗部を目の当たりにしながらも軍に居続けているんだ?」
ニーガルの肩が小さく、僅かだが確かに揺れていた。