廃陸の旅団
「うおぉぉおっ!!」
「悲しいな、君のように若く才能のある逸材を葬らなくてはならないなんて……」
ニーガルに向かい突進するクラナドが、ニーガルの異変に気付く。
「あれは……詠唱!?」
フォースマスターの中にはフォースを声の振動にリンクさせ言霊を詠唱することで呪術や治癒術などを使うことができる者がいる。
一般に彼らは魔法使いや魔導師と称されている。
ニーガルは剣士であり呪術士でもあったのだ。
「罪人には光の刄を『インビジブル・バレット《絶対不可視の弾丸》』」
ニーガルが呪文を唱え終えた瞬間。
クラナドは遥か後方、家の壁を突き破り屋外にまで吹き飛ばされていった。
「何をされたんだ!?何も見えなかったぞ。」
クラナドは激痛の走る部分を見た。
するとそこには弾痕の様な傷が数ヶ所残っていた。
「さぁ、終わりだよクラナド・ウォーカー。スフィア窃盗およびスフィアの危険使用の現行犯として君を……処刑する。」
ニーガルは剣をクラナドののどに突き付けるようにする。
どうやら抵抗する力もなくなってしまったようでクラナドは目を瞑っていた。
「さらばだクラナド・ウォーカー。」
天に突き上げた剣をニーガルが勢い良く振り下ろす。
「なっ!?」
『バシャァァッ』
暗い路地に赤い綺麗な鮮血が飛び散った。