廃陸の旅団

「最期にあなたに会えて良かった。でも、私はあなたと一緒に行くことはできない。」

一歩。二歩。とゆっくりと後退するニーガル。

「過ちは正せば良い。あなたは常々言っていましたが、私はもはや正せぬほどの多くの、そして大きな過ちを犯してしまった。」

チカチカと消えかかった電球の様にニーガルのフォースが、閉じたり開いたりを繰り返す。

まるで消えてしまう電球の最期の足掻きの様に。

「おい、ニーガルまさか――!?」

「兄さん!!それだけはいけない。」

アストンの叫びにニーガルが一瞬アストンを見つめた。

まるでウリアがテリアを見つめた時のような優しい顔で。

ゆっくりと微笑んだ。

「すまないアストン。私はもう当の昔に後戻りする権利など失っていたのだ。」

「兄さぁぁぁぁぁあん!!!!」

身体が爆発したかのように考えられないほどの量のフォースがニーガルから弾け飛ぶ。

「ちっ、オーバーリミットか!!」

生命の限界を解除したニーガルのスピードが更に跳ね上がり、オスカーに向かっていく。

それは例えるなら瞬速を超えた、まさに神速。

流石のオスカーも反応するので手いっぱいだ。

「おい、そこの眼鏡小僧。オーバーリミットを止める手段はねぇのか!?」

オスカーはニーガルの攻撃を受けながらアストンに問う。

アストンは悲痛の面持ちで答えた。

「オーバーリミットは核細胞を生命維持の限界まで消費しない限り、どんな治癒術でも止めることは不可能です。それに……」
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