廃陸の旅団
今ここに「さよなら」を言う
アストンの中に芽生えた違和感は次第に膨らみ。
ニーガルのフォースはとどまる事無く強大に膨れ上がり、その強大なフォースが全てオスカーへと向けられていた。
ニーガルの斬撃を一度受けるごとに、オスカーの反応が徐々に遅くれてくる。
「……(何かおかしい。)」
ニーガルのスピードは更に速くなり、オスカーですら受け流すことができなくなっていた。
ニーガルの切っ先がこの日初めてオスカーの左腕をかすめた。
「………おかしい。」
尋常ではありえない力の増幅をしていくニーガル。
そんな戦いを遠目に見ていたアストンが違和感の正体に気付き始めていた。
そして、もう後戻りが叶わないことも……
「アストン、何がおかしいんだ?」
カムイがそう聞くとアストンがやや自信なさげに言う。
「どうやら……あれは通常のオーバ-・ドライブとは違うものの様です。」
「違うもの……?」
ニーガルを観察しているかのようにアストンは目線をそらさない。
「オーバー・ドライブとは、核で精製されるフォースを爆弾が炸裂したかのように一時的に最大まで増幅させる術です。爆弾の力は炸裂時が最大で、後は一瞬にして納まるもの。しかし兄さんのアレは……」
「治まるどころか、明らかに力が上昇し続けているな。」
「はい。」
いつの間にかオスカーは呪術を駆使して迎撃するようになっていた。
それだけニーガルの力が上がり、手加減をしている余裕がなくなっていたのだった。