廃陸の旅団
ニーガルはオスカーにとどめを刺すべく剣を構える。
限界をしらないニーガルのフォースは未だ上昇し続けていた。
「やはり……あれは。兄さん!!やめてくれ。兄さん!!」
ニーガルが剣を天高くかざすと双剣がぼんやりと輝いた。
「オスカーさん、兄さんを止めてください!!」
淡く輝く光はニーガルのフォースを吸収し輝きを増していく。
「やめろ。やめてくれ。兄さーん!!」
ニーガルが双剣を持っていたはずの両手からは、天にも届きそうな程に巨大で、天にふさわしいばかりに神々しく輝く刄が生えた。
「やはり、そうか。この糞弟子がいらんこと覚えやがって……世話のやける。」
オスカーはニーガルに臆することなく向かい合い、その大剣を構えた。
「すまなかったな……やはりお前は軍に入れるべきじゃなかった。まだまだ俺が教えにゃならんことがあったんだな。」
オスカーの瞳に初めて悲しみが揺れた。
全ての後悔と謝罪とを己のフォースに乗せる。
「……だから最期はせめて師匠としてお前を楽にしてやろう。」
アストンが瞬く。
ほんの一瞬視界を閉じた。
その瞬間、風圧で身体を壁にまで吹き飛ばされる。
次に目を開けた時に視界に移ったのはニーガルがオスカーに身体を預け前のめりに倒れている姿。
そしてニーガルの身体を突き破り赤黒く鈍く光るオスカーの刄だった。