廃陸の旅団
息を引き取ったニーガル。
ニーガルの脈動がとまると栓をしていたアストンの涙があふれだした。
もうニーガルはいない。
アストンを慰める為に傍にいくべきなのかもしれない。
しかしマールにはまだアストンに近づいてはいけないような気がした。
まだあの二人の空間には他人は入り込んではいけないように感じていたのだった。
「なぜ治癒を止めたの?あの時ならまだニーガルをたす……」
「助けられんよ。どんな治癒の天才だろうとな。」
そう否定したオスカーをマールは睨み付ける。
「生物はみなスフィアを体内に宿している。スフィアの暴走を止める手段はスフィア自体を破壊する以外にない。」
オスカーの瞳に無念が宿る。
ニーガルの血で真っ赤に染まった自らの剣が憎くさえも感じるほどに。
「スフィアは生命力の源だ……それの核となる心臓を破壊した、そうなっては生命は生きることはできない。例えどんな手段を以てしてもな。」
オスカーはそう言ってとんとマールの肩を叩いた。
するとマールが信じられないものを見てしまったかの様な表情で、ニーガルの方を指差していた。
「んあ?……どうしたよ嬢ちゃん。」
振り替えるオスカーは自分の目を疑った。
そこには宙に浮かび金色の光を辺りに燦然と撒き散らすニーガルの姿があったのだ。