廃陸の旅団
夕暮れて灯り一つ灯らない玄関に突然の来客が。
太った優しげなおばさんが客人達を迎え入れる。
「……まぁ、アナタ達は。」
優しい眼差し、少し悲しげな笑顔、暖かい胸。
「おばさん、お久しぶりです。」
「ええ、いらっしゃい。」
クラナドの母はそういって、カムイ達3人を一度に抱き締めると部屋へと招き入れた。
相変わらずギシギシと音を立てる床、少し湿った匂いのする窓際の壁。
その全てが懐かしくて、カムイは必死にそれを堪えていた。
「今日はどうしたの?」
熱い紅茶と共に、自家製のクレープが振る舞われる。
「クラナドと約束をして、ようやくそれを果たすことができたので報告に来ました。」
「……そう。」
満足気な笑みを浮かべたクラナドの母に会釈をして、カムイだけがクラナドの墓へと向かっていった。