廃陸の旅団
そうしてカムイ達がクラナドの家を離れる僅かばかり前。
アストンはアンバー・タワーの総監室を訪ねていた。
扉を開けるとそこには……
「ろ、ローザス副監!?」
そこには何故か副監であるローザスの姿があった。
アストンが入ってきたことにローザスが気付き、椅子を反転させる。
「アストン准将……軍を裏切った者がいまさら何のようかな?」
アストンはローザスの前へと歩み寄り、深々と頭を下げる。
「如何なる処罰も受ける覚悟はできています。ニーガル中将の分まで私が……」
「…………。」
ローザスはアストンをじっと見つめ、無言で一枚の紙を投げた。
「ニーガルは殉職にともない名誉特進。大将になった。それは着位証明書だ、薄っぺらい紙だが、墓前にでも供えてあげなさい。」
「は……はい。ありがとうございます。」
ローザスはまた椅子を反転させる。
僅かばかりの沈黙の後、ぽつりと呟くように言う。
「どんな罰でも受ける。その言葉に嘘偽りはないな?」
「……勿論です。」
アストンの言葉には欠片ほどの迷いもなく、ローザスは不敵に笑った。
「アストン。お前は今日限りでB.A.S.E.から除名する。そして極秘の任についてもらおうじゃないか。」
「極秘の任務ですか?」
「できればカムイとも協力しなさい。その任とは……」
この瞬間を境にこの世界の運命は、一気に動き始めるのであった。