廃陸の旅団
そして三日後。
さざ波の音だけが耳に届く静かな夜に、1つの足音が小さな小屋に向かっていた。
小屋は大人2人が暮らすには狭いくらいで、その小屋の主人達はひもじい生活を送っていることが容易に想像できた。
「……ん?」
チカチカと赤い小さな光が波打ち際に光っている。
街灯などない真っ暗な海をよく見ると、小さな渡り船が見える。
「どうやら、ここであっているらしいな。」
ザッザッ、と砂を弾く乾いた足音が小屋へと近づき――
「すいません。どなたか居られますか?」
若い男の声に小屋からの返事はない。
そして男がドアの把手に手をかけた瞬間。
「――カムイ・フロストマンだな?」
「――!!」