廃陸の旅団
いつの間にかカムイの背後へと迫る謎の男。
背中越しに感じるフォースで、その者が只者でないことが分かる。
「(この男は強い。でも…何だ、この懐かしい感覚は?)」
「どうした?質問に答えろ。」
じりじりとフォース圧があがり、何時でも攻撃可能な状態になっている。
「答えは……」
瞬間。
カムイの裏拳の如く上半身を捻った、剣撃が男を襲う。
凄まじい剣圧は、悠々と回避したはずの男の服の肩口をスパッと切り裂くほどで、男は驚き笑った。
「見事。では、これはどうか?」
男がゆったりと合気道の型をなぞる。
神経を研ぎ澄まし、辺りの空気すらも一瞬にして張り詰めさせたのを感じる。
「ほぉぉぉお……」
深く吐かれた息。
男が息を止めた刹那。
「――なっ!!」
カムイの右頬に激痛が走った。と同時に視界の左端に拳が写る。
「な――んつぅ速さだよ。」
間一髪で追撃を回避したカムイ。
研ぎ澄まされた感覚の中で左目を開いた。
「ほぉ、『緑柱眼』まで自在に操れるようになったか。結構なことじゃ。」
フォースの濃度を感じ取れる緑柱眼になって初めて、カムイは男の正体に気付くのだった。
「あなたは――」